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湘南ロードライン

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小型バスの坂道駐車

2019年5月10日14時50分頃、群馬県南牧村の林道で、駐車してあった運転手不在の小型バス(日野レインボー7M、CH系)が坂道を転がり、路外の斜面に落ちて乗っていた12人が重軽傷を負う事故がありました。
写真を見たところ、バスは横転等はしておらず、正姿勢のまま路外の斜面に突っ込んだようです。

で、続報が入ってくるたびに私にとって他人事ではない展開になりました。
バスは緑ナンバーではなく自家用だったこと、同乗者から運行経費を上回る料金を受け取っており、白バスの疑いが浮上した事でした。運転していたのはレンタカー業を営む人のようです。当該バスがレンタカー登録かどうかはわかりません。

いずれにしても、レンタカー業を営む人が、みずから白バス行為は勘弁して欲しいですね。
レンタカーのバスは全長7メートル未満に規制されており、7メートル以上のバスはレンタカーとして用いることができないのです。大型トラックにはこのような規制はなく、なぜバスだけこのような規制があるのかと言うと、バブル期にレンタカーによる白バス行為が横行したためで、その結果、現在の肩身の狭い規制を強いられることになりました。7メートルに29人乗ったらメチャクチャ窮屈なんですよ。でも、ゆったり乗りたいからと言って全長をこれ以上長くする事はできないのが、レンタカーバスです。

これ以上、変な事をして、また自家用バスの規制が厳しくなるのは勘弁して欲しいですね。私だっていつになるかはわからないけど、いつかは自家用バスのオーナーになる目標があるんですよ。現在、Twitterで活動している数多の自家用バスオーナーさんの仲間になる目標です。

自家用バス関連はこれくらいにして、坂道でバスが動き出した原因を考察してみようと思います。
事故車の車種はレインボー7MのCH系で、年式はわかりませんが、製造は1987年から1998年の間のはずです。1998年以降はメルファ7にモデルチェンジしたのでね。



メルファ7 サイドブレーキ
駐車時に必ずかけるサイドブレーキですが、事故車の場合はこのタイプのはずです。これは乗用車にもよく使われるタイプなので、クルマを運転する人ならみんな知ってると思いますが、強く引くほど強いブレーキになり、引くのが弱いとブレーキ力が不足することもあります。
構造的にはワイヤーで引っ張ってるだけなので、強く引いてもワイヤーが切れてブレーキが解除されてしまう事故も起きてると聞いてます。そのため、駐車時はこのサイドブレーキだけでなく、バックアップとなる他のブレーキも併用する必要があります。



DSCN1318.jpg
法改正により1998年以降にモデルチェンジした大型車については、より安全性を向上したこのホイールパーク式サイドブレーキに切り替わりました。基本的に車両総重量8トンを超える車種が該当しますが、エアロミディMJのように一部は8トン未満の小型バスでも装備しているものもあります。今回の事故車はこちらには該当しません。



メルファ シフト
教習所でも習いますが駐車方法のひとつとして、マニュアル車の場合、ギアを1速かバックに入れてエンジンを停止すれば、ひとまずタイヤをロックする事ができます。ただ、メルファ7で実験したところ、1速でも急な坂道では動いてしまったので、坂道も限度はあります。



DSCN1319.jpg
フィンガータイプのマニュアル車も構造上はギア入れてエンジン停止すれば車輪ロックできますが、そのまま長時間駐車すると、エアが抜けてギアがニュートラルに戻らなくなるため、基本的にはこのフィンガー車でギアを入れた駐車はできません。
2000年より以前のバスは、このフィンガーシフトとワイヤー式サイドブレーキという組み合わせが多く、駐車時はニュートラルでサイドブレーキのみになりますが、それでは危険なのでタイヤに車輪止めを設置する必要があります。



DSCN0832.jpg
レインボー7Mに設定があったかはわかりませんが、後継のメルファ7にはATの設定がありました。バスのATの場合、Pレンジは耐久性の関係で一定の重量を超えるバスには装備されてません。そのため、ATの場合だとシフトギアを用いての駐車ブレーキは一切できず、やはりニュートラルでサイドブレーキのみになります。その点は上記のフィンガーマニュアル車と同じで、やはりタイヤに車輪止めが必須になります。
当たり前ですが念のため書いておくと、LレンジとかRレンジに入れてエンジン停止しても全く意味ないですからね。



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大型車の場合、駐車時は写真のような車輪止め(以下、輪止め)を使用することがあります。しかし、これもメルファ7で実験したところ、左前輪だけでは効果が弱く、そんなに急ではない坂道でもサイドブレーキを解除した途端に輪止めを乗り越えて動き出してしまう結果になったので、やはり限度があります。坂道では、左右の車輪に設置するか、できれば四輪とも設置したほうがいいかもしれません。
実験の結果としては、左前輪のみの輪止めよりも、MT車の1速のほうが断トツで強力でした。1速駐車ができないAT車は輪止めに頼りがちですが、その効果については特に留意する必要があります。


以下、実際のバス運転において私が実際にやっていた駐車方法。

①:ワイヤー式サイドブレーキ×ロッド式MT車(トナカイレンタカーのメルファ7の1号車が該当)
・平坦路ではギア1速またはRの上、サイドブレーキ
・平坦路で上記処置を行った場合に限り、輪止め省略可
・平坦路でもエンジン停止しないのであれば、輪止め使用
・緩い坂道ではギア1速またはRの上、サイドブレーキと輪止め
・急な坂道の駐車不可

②:ワイヤー式サイドブレーキ×PレンジのないAT車(トナカイレンタカーのメルファ7の2号車と3号車が該当)
・平坦路ではサイドブレーキと輪止め
・緩い坂道も同様にサイドブレーキと輪止め
・どのような条件であっても輪止めの省略は不可
・急な坂道の駐車不可
(蛇足:ちょっと買い物やトイレ休憩だけでも毎回こまめに輪止めをするのは大変だった)

③:ワイヤー式サイドブレーキ×フィンガー式MT車(実際には運転したことない)
・平坦路ではサイドブレーキと輪止め、ギアはニュートラル
・緩い坂道も同様にサイドブレーキと輪止め、ギアはニュートラル
・平坦路の短時間駐車に限り、ギアを1速またはバックに入れることで、輪止め省略可
・急な坂道の駐車不可

④:ホイールパーク式サイドブレーキ×フィンガー式MT車(日邦レンタカーのエアロミディ1号車が該当)
・平坦路ではサイドブレーキ、ギアはニュートラルで輪止め省略可
・緩い坂道はサイドブレーキ、ギアはニュートラルで輪止め
・急な坂道の駐車不可


このように、大型車の駐車に当たってはサイドブレーキ、シフトギア、輪止めの3種類を組み合わせて使用するわけですが、前述の通りフィンガーMT車やAT車はシフトギアの使用ができないので、それに合わせた対応が必要になります。
で、上記を見てもわかる通り、坂道においてサイドブレーキのみの駐車は絶対にしません。ワイヤー式なら尚更です。あと、急な坂道の駐車は、ホイールパーク式サイドブレーキ装備車も含めて全て禁止にしています。

よく2トン車や軽トラックのMT車で、坂道でギアも入れずにサイドブレーキだけで駐車してしまう人を見かけるのですが、坂道駐車をワイヤー1本に託す行為になるので危険です。今回の自家用バス事故では、坂道でどのような駐車処置をとっていたのか報道がありませんが、いずれにしても、今回の事故を他人事だと思わず、過去に実際のバスでやったいくつかの実験結果からしても、たとえ輪止めを設置した、ギアを入れる処置をしたとしても、状況によっては重大事故になる可能性もあるので、より一層の大型車に対する理解と安全運転の知識を深める必要があるという訳ですね。
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