湘南ロードライン

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バスのギア操作

軽井沢バス事故を受け、私の職場で話題になったバスのギアについて、説明します。
説明と言うと偉そうなので先にお断わりしますが、私はバス運転手ではありません。大型二種免許を取得し、遊びで小型観光バスを24時間X18回レンタルしただけで、大型観光バスの経験はありません。
また、この記事はマニュアル車のギア操作を理解している人(MT免許取得者等)でないと、理解できないかもしれません。あらかじめ、ご承知ください。

事故について報道では、ギアがニュートラルだった、フットブレーキに異常はなかった、という事が言われていますが、なぜギアがニュートラルになったのか、なぜあんなにスピードが出てしまったのか、という事については、現役のバス運転士さんでもわからないそうです。ちょうど乗用車が同様の事故を起こして、「なぜそうなったんだと思いますか?」と質問されるのと同じだそうです。

とりあえず乗用車しか運転しない人にとってはバスのギア操作がピンと来ない人が多く、よく質問されるので、ここで解説します。


DSCN1319.jpg
まず、日邦レンタカーで借りた小型観光バス、三菱ふそうエアロミディMJの6速フィンガーシフトで、もちろんマニュアルです。
写真は小型バスの物ですが、レバー自体は三菱ふそうの大型観光バスと同じ物を(今回の事故車も)使用しています。
レバーと変速機が直結しておらず、運転者のギア操作を電気信号で伝達し、機械装置がギアチェンジを行う仕組みになっています。ギアチェンジを人力ではなく機械が行うので、運転者の疲労を軽減できるのがメリットです。
一方で、一定の条件が重なると、レバーの位置と実際のギア位置が異なるという状態が発生します。そこで現在のギア位置がわかるよう、計器上にギアの位置を表示するインジケーターがあります。

レバー位置と実際のギア位置が異なる状況につながる一定条件とは、例えば時速100キロで1速に入れる操作をしても、レッドゾーン回転域に入るような操作はコンピューターが受け付けないので、レバーは1速に入っても変速機はニュートラルのままになります。
また、3速で走行中、クラッチを踏まずにギアをN位置にしても、これも無理な変速操作ということでコンピューターが受け付けず、レバーはニュートラル位置になっても変速機は3速のままで警告音が鳴ります。この警告音の意味がわからないまま、N位置だからってクラッチを踏まずに停車したり、停車後にいきなりクラッチを離すと、エンストするわけです。
古くて整備状態が悪いバスだと、適切なギア操作を行っていても、ギアが入らない、あるいはニュートラルにならないという事態が発生します。乗用車でも整備が悪いとギアが入りにくいとかあると思いますが、このフィンガーシフトはレバーと変速機が直結していないため、ギアが入りにくいとかいう感覚を感じ取ることができないので、運転台のインジケーターでギアが入ってるか、あるいはNになったかをよく確認する必要があります。
wikipediaのフィンガーシフトにも詳しい説明があります。



メルファ シフト
次にロッド式のシフトレバーで、写真はトナカイレンタカーの小型観光バス、日野メルファ7の物です。私は棒レバーと呼んでます。
昔は大型バスもみんなこのタイプでしたね。仕組みは乗用車と同じで、レバーと変速機が直結しているので、レバー位置と実際のギア位置が異なることはありません。
昔の大型バスは完全な人力だったため、ギアが重いときはダブルクラッチや空吹かし等をして変速するなど、高度な運転技術を要しましたが、今のバスはロッド式でもアシスト(パワステや油圧ブレーキみたいなもの)がついてるので、棒レバーでも乗用車と同じ操作で問題ありません。という事で、操作方法については省略します。

現在の中型、大型バスは大部分がフィンガーシフトですが、現在でも一部車種でこの棒レバーもメーカーオプションで設定されているので、選択することができます。特に送迎バスや自家用バスなど、あまり長時間の連続運転を想定しない車については、コスト削減のため敢えて棒レバーを選択するケースが多いです。

で、今回の軽井沢事故の運転士は、小型、中型バスを中心に乗ってきて、大型バスに不慣れだったとのことですが、小型、中型は用途の関係上、棒レバーの比率が高く、観光バスのフィンガーシフトに不慣れだった、それが原因でギアがニュートラルになってしまった、という見方も報道されています。もちろん根拠はないので、真相はわかりませんが。



DSCN0832.jpg
ついでにオートマチックも載せておきます。これも小型観光バス、日野メルファ7のものですが、操作は乗用車とほぼ同じです。ただし、Pレンジがありません。
ATの設定は1990年代からあったものの、なかなか普及せず、2010年代になってようやく路線バスや中型バスの送迎仕様に普及しだしました。ただし、観光バスは中型も含めて未だマニュアルがメインで、例えば日野メルファという同じ車種でも、一般道が前提の送迎用はATの比率が高いのに対し、高速道路が多い観光用はMTの比率が高いです。
私が実際に運転した感想は、一般道を流すだけなら、もの凄くラクだし快適です。
しかし、やはり燃費や高速性能、登坂性能が悪く、坂や高速道路でマニュアル車に負けることが多いです。ATは伝達効率が悪いという事がよく言われますが、それは大昔の話しで、近年は(少なくともトラックバス向けのATは)ロックアップがついており、伝達効率は殆どロスがありません。しかし、AT自体の重量の重さと、ATオイルを冷却する装置が、空調クーラーと同じようにエンジンから力を奪ってしまい、特に大型車はそれが顕著なので、私が運転するトナカイレンタカーのメルファ3号車もそれが難点です。
ただ、現役の運転士さんに聞いたところ、新しいアリソン製のATなら、私が体験したような難点はいくらか解消されているそうです。最近になってATの普及が進みだしたのは、それが理由かもしれません。



DSCN1318.jpg
サイドブレーキもここに載せておきます。これは冒頭の日邦レンタカー、エアロミディMJが装備するサイドブレーキで、ホイールパーク式といいます。レバーを上げるとブシュ―ンというエアの音がして駐車ブレーキがかかります。2000年以降に生産された中型、大型バスの大半はこのタイプです。下記のワイヤー式と比べると、引きが甘くて車が暴走してしまったとか、ワイヤーが切れて暴走してしまった、というリスクがないため、安全です。


メルファ7 サイドブレーキ
こちらは日野メルファ7のもので、乗用車と同じワイヤータイプです。大型バスも年式が古いタイプだと、こちらの方式です。注意点は乗用車と同じで、しっかり引いておくこと、万一ワイヤーが切れたときのバックアップとして、ギアを入れておくことです。ただしバスの場合、オートマ車はPレンジがなく、フィンガー車も諸事情でギアの入れっ放しができないので(理由は割愛)、車輪止めをかけておく必要があります。
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